サマリー
女性のAI利用は急拡大、プライベートでは男女差がほぼ解消(→図表1〜4):女性の生成AI利用は、この1年で大きく前に進んだ。「生成AIを知らない」は20.9%から11.9%へ半減し、プライベートでの利用は28.0%から51.3%へほぼ倍増。男性(54.6%)との差はわずか3ptに。仕事での利用も20.9%から31.7%へ伸びたが、男性(45.3%)とは13.6ptの差が残っている。
収入が増えた人は、AI利用者で非利用者の約3倍(→図表25〜28):この1年で収入が「増えた」人は、AI利用者では23.1%と、使っていない人(8.7%)の約2.7倍。あわせて、仕事でAIを使う女性の半数が「時間が減った」と実感し、その幅は週平均2.5時間。またAI活用で生まれた時間の使い道1位は「自分の学習・スキルアップ」(33.0%)。AI活用が、時間の創出、学び直し、収入の変化と結びつき始めている。
20代は、プライベートでの女性のAI利用率が男性を上回る(→図表2・3・6・7):プライベートでは20代女性の61.0%が利用し、男性(56.2%)を約5pt上回る。さらに仕事でのAI利用においても男女とも50.0%と差がなく、差が開くのは30代以降。その差をくわしく見ると、約9割は「どんな雇用形態で働いているか」の違いによるもので、正社員同士なら差はほぼゼロ。業種による開きも大きく(情報通信が57.1%に対し、宿泊・飲食20.3%)、女性は利用率の低い業種で多く働いている。差の大半は、個人の力ではなく、AIを使える環境にいるかどうかで説明できる。
AIを「使う」だけでは自信の差は残るが、「学ぶ」ことで差は縮まる(→図表10〜15):毎日AIを使う人同士で比べても、「とても使いこなせている」と答えた女性は21.4%で、男性(31.9%)の約3分の2。一方、現在AIを学んでいる人では「使いこなせている」と感じる割合は女性83.6%、男性82.4%と、男女差がほぼなくなる。「使う」だけでなく「学ぶ」機会を持つことが、自信につながる可能性が示された。
女性のAI学習はまだ個人任せ、職場から得られる機会にも差(→図表17〜20):AIについて学んだり調べたりした経験のない女性は67.8%。過去1年の自己投資は85.5%が0円で、会社の研修で学んだ人はわずか4.3%。職場のサポートも、研修の機会(3.2%)・ツール費用の負担(7.6%)ともに男性の約半分にとどまる。それでも前向きな変化はあり、昨年いちばん大きかった「何から始めればいいか分からない」という不安は30.1%から24.3%へ減った。
AIは「柔軟な働き方」と「副業」への入口として期待されている(→図表27):学びに前向きな女性がAIに期待する働き方は、「フルリモート・時短などの柔軟な雇用」(28.6%)と「AIスキルを活かした副業」(28.2%)が上位。フリーランス(18.4%)や今の職場での昇進(17.3%)も続き、AIを「自分らしい働き方」への入口として捉えている。
求められる支援は、「費用・続けやすさ・仲間」(→図表21〜24):支援ニーズの上位は「費用の補助」「楽しく学べる講座」「参加しやすい環境」「スキマ時間で学べる柔軟さ」。学び始めた女性の8割は、「一緒に学べる場」があれば参加したいと答えている。
調査概要
| 調査手法 | オンラインリサーチ(GMOリサーチ&AI) |
|---|---|
| 対象 | 全国20〜59歳の男女 |
| 有効回収数 | 男性586・女性1,411(計1,997)※年代4区分で人口構成比割付 |
| 調査時期 | 2026年8月(前回:2025年8月・女性1,116) |
| 掲載基準 | n<30のセグメントは非掲載、n<100は参考値(※印) |
女性のAI利用はこの1年で日常に。プライベート利用では男女差がほぼ解消、仕事では13.6pt差が残る
利用はほぼ倍増、使っていない層も51.1%→36.8%へ減少。
Q あなたは生成AIを普段どのくらいの頻度で利用していますか。プライベートと仕事での業務のそれぞれについてお知らせください。
ベース:女性2025年n=1,116・2026年n=1,411。利用=週1日未満を含む利用計。
差が開くのは30代以降。女性だけが年代とともに利用率が低下する。
Q 同上(図表1と同じ設問)
n(男/女):全体ベース 20代105/251・30代130/317・40代166/400・50代185/443/就業者ベース 20代76※/196・30代103/248・40代137/322・50代163/369。
女性の仕事利用は20.9%→31.7%に上昇。20代は差なし、30代以降で女性のみ低下。
Q あなたは生成AIを普段どのくらいの頻度で利用していますか。プライベートと仕事での業務のそれぞれについてお知らせください。(仕事での利用計)
就業者ベース。n(女/男):全体1,135/479・20代196/76※・30代248/103・40代322/137・50代369/163。
入口さえ揃えば、その先の続き方に男女差はない。
Q 同上(図表1と同じ設問)
「日常業務に定着」以上が9.4%→15.4%に増加。
Q あなたの職場では、業務でのAI活用はどの程度進んでいますか。最も近いものをお知らせください。
女性・就業者ベース(2025年n=729・2026年n=1,135)。男性2026年の「全くなし」は29.9%。
仕事でのAI利用の男女差は「働く環境」に左右され、正社員同士ではほぼゼロ
仕事利用の13.6pt差を分解すると、約9割(12.0pt)は雇用形態の分布の違いで説明できる。男性の3人に2人は利用率52%の正社員だが、女性の約4割は利用率13%のパート・アルバイトで働いている。
同じ雇用形態に揃えると、差はほぼ消える。
Q 同上(図表1と同じ設問)
n:正社員309/403・パート51※/437・自営51※/91※・派遣14/70※・契約13/57※。参考試算(Kitagawa分解):構成差12.0pt+同一形態内1.6pt=13.6pt。
雇用形態を揃えてもなお残る差は、業種や企業規模にも表れる。業種による開きは最大3倍(図表7)。企業規模別では300〜999人で女性が優位になる一方、1,000人以上の大企業ではむしろ男女差が最大になる(図表8)。
女性は利用率の低い業種(製造・医療福祉・流通小売・宿泊飲食)に多く働いている。
Q 同上(図表1と同じ設問)
就業者ベース。業種の詳細と企業規模別の全数値はファクトブック本編3-2を参照。
差の約8割は雇用形態差で説明できる。
Q あなたは生成AIを普段どのくらいの頻度で利用していますか。(仕事での利用計)/お勤め先の従業員数(会社全体)をお知らせください。
就業者ベース。n(女/男):29人以下216/65・30〜99人179/74・100〜299人126/77・300〜999人112/64・1,000人以上235/121。勤務先規模「わからない」(女性16%・男性6%)は非掲載。
AI利用が広がっても女性の慎重姿勢は変わらず、「頼りすぎ」への警戒が強い
「頼りすぎは危険」は30%台で不変。「関係ない」17.0%→12.7%、「怖さ」17.3%→13.0%は減少。
Q AIに対するあなたの印象としてお気持ちに近いものを全てお知らせください。(複数回答)
女性2025年n=1,116・2026年n=1,411/男性2026年n=586。昨年と選択肢が同一のため経年比較可(2026年に「AIに頼るのは手抜き・ずるいことのように感じる」を新設)。女性2026年の回答率が高い順に掲載。
AIを「使う」だけでは自信の差は残るが、「学ぶ」女性では男女差がほぼゼロに
Q9「自分は生成AIを使いこなせる(学べばなれる)」への回答(「とても」+「やや」の合計=使いこなせる計)を、さまざまな切り口で比較した。
使う量だけでは、自信は育ちにくい。
Q 「自分は生成AIを使いこなせる(または、学べば使いこなせるようになる)」と思いますか。(「とてもそう思う」の割合)
ベース:ほぼ毎日利用者(女性206・男性91※)。※はn<100の参考値。参考:「とても+やや」の計では女性57.8%・男性62.6%※。
正社員では自信の差はわずか1.5pt。学ぶ機会が鍵。
Q 「自分は生成AIを使いこなせる(または、学べば使いこなせるようになる)」と思いますか。
n:正社員309/403・パート51※/437・自営51※/91※・派遣14/70※・契約13/57※。
最も使いこなす20代で、自信の差が最大(−14.6pt)。
Q 同上(図表11と同じ設問)
n:男63/86/99/93・女162/179/208/200。
学ぶ機会があるかどうかが、自信の差を左右する。学習中の女性は自信の男女差がほぼゼロになり(図表13)、学びの深さが増すほど自信も高まる(図表14)。
学習中の女性は83.6%で、男性とほぼ同率。
Q 同上(図表11と同じ設問)
n:学習中51※/61※・予定136/205・難しそう178/521・したくない221/624。
独学でも自信は上がるが、講座・研修でさらに上がる。
Q 「自分は生成AIを使いこなせる(または、学べば使いこなせるようになる)」と思いますか。(「とてもそう思う」+「ややそう思う」の計)
女性の生成AI利用者ベース(経験なし359・独学241・体系149)。
自信がある女性は、仕事利用4.0倍・学習意向17倍・仲間参加意向4.9倍。
Q 「自分は生成AIを使いこなせる(または、学べば使いこなせるようになる)」と思いますか。(回答別に各行動の該当率を集計)
女性・全体ベース。横断調査のため相関であり、因果の向きは特定できない。
AI活用で「自分の力が活きている」実感は年代で異なる
20代・50代は女性優位、30〜40代は男性優位。特に30〜40代女性が力を発揮できる環境づくりが課題。
Q 生成AIを活用するうえで、あなた自身の次のような力がどの程度「活きている」と感じますか。(「活きている」計)
利用者ベース(女性:20代162・30代179・40代208・50代200/男性:63・86・99・93)※全セル参考値。
女性のAI学習はまだ「無料×個人任せ」。不安は「入口」から「中身」へ
Q AIや生成AIに関連するスキルの学習に現在取り組んでいますか。
女性が男性を上回るのは「学んだことがない」だけ(+10.3pt)。
Q あなたはこれまでに、AIや生成AIの使い方やスキルについて、どのような方法で学んだり情報を得たりしたことがありますか。(複数回答)
個人・会社の両方から、学びへの投資が届いていない。
Q 過去1年間で、AIや生成AIの学習にご自身で支出した金額の合計をお知らせください。(自己投資)ほか
「入口の迷い」は軽減し、費用や情報選びなど「中身」の不安が上位に。
Q あなたがAIや生成AIに関連するスキルを学ぶとしたら、どんなことに不安を感じますか。(複数回答)
今年は21択→12択に再構成。「特に不安はない」「まず何から始めれば」「自分の適性や興味と合うか」「学習時間を確保・継続できるか」は昨年と同一文言のため経年比較可、他は昨年の複数選択肢を統合した参考値。新設の「家事・育児・介護で学習時間そのものが取れない」は女性7.0%(男性4.4%)。
求められる支援は「費用・続けやすさ・仲間」。制度・職場の支援はまだ届いていない
① 個人が求める支援
1位は「参加しやすさ」から「費用補助」に交代。
Q あなたがAIや生成AIに関連するスキルを学ぶ上で「支援があったら助かる」と思うものを全てお知らせください。(複数回答)
女性ベース(2025年n=1,116・2026年n=1,411)。「支援は必要ない」(2025年39.1%→2026年46.1%)を除いた上位10項目。今年は19択→11択に再構成しているため、順位の比較は参考。
学びが具体的になるほど、仲間への期待は高まる。
Q AIや生成AIに関連するスキルを「女性と一緒に学べる場」があれば参加したいと思いますか。(参加したい計)
女性ベース(n=1,411)。内訳:学習中61※・予定205・難しそう521。※はn<100の参考値。
② 企業に求められる支援
機会が公平になれば、利用も自信も追いつく可能性がある。
Q あなたの職場でのAI活用に関する状況として、当てはまるものを全てお知らせください。(複数回答)ほか
③ 公的制度による支援
分かりやすい案内と簡単な手続きで、利用まであと一歩。
Q 前問の公的制度を利用したことがない、または利用に至らないのはなぜですか。(複数回答)
女性の未利用者ベース(3制度すべて知らない778・認知しているが未利用537)。教育訓練給付金を「知らない」は女性の63%。
AI活用で生まれた時間は学びへ再投資。柔軟な働き方への期待と、収入増との相関も
AI活用で生まれた時間は、学びへ、そして次のキャリアへの関心へとつながっている。仕事でAIを使う女性の半数が時間削減を実感し(図表25)、生まれた時間の使い道1位は学び直し(図表26)。学びに前向きな層では、柔軟な働き方への関心も2〜4倍に高まる(図表27)。
週2.5時間は年間約130時間、労働日換算で約16日分。
Q 生成AIの活用によって、仕事の時間は1週間あたり合計でどのくらい削減できていると感じますか。
ベース:仕事でのAI利用者(女性360)。「ほとんど変わらない」31.1%・「わからない」17.5%。平均は「わからない」除外・区分中央値による概算。
Q 生成AIの活用で生まれた時間や余裕は、どのようなことにつながっていますか。当てはまるものを全てお知らせください。(複数回答)
ベース:Q6で時間削減を実感した女性185名。回答率の降順で表示。
「興味なし」も65.4%→25.9%に急減。
Q 次のような働き方に興味はありますか。当てはまるものを全てお知らせください。(複数回答)
女性ベース(全体1,411・学びに前向きな層=学習中+今後取り組む予定266)。
AI活用は業務効率化にとどまらず、収入とも関連している。学歴・雇用形態・企業規模を揃えても傾向は同様。
Q この1年間で、あなたの収入はどのように変化しましたか。(AIの利用に関わらず、収入全体でお答えください)
女性ベース・「わからない・答えたくない」除外(利用者628・非利用者437)。属性を揃えた確認でも、すべてAI利用者のほうが高い(倍率1.5〜4.3倍)。横断調査のため相関であり、因果を示すものではない。参考:男女計では25.0% vs 8.7%(2.9倍)。
提言:女性のAI活用を広げることは、AIによる雇用変化への備えであり、日本の成長への投資
AI利用者は「収入が増えた」割合が非利用者の約3倍、学んでいる女性では自信の男女差も消えています。ただしいずれも横断調査であり、因果関係は特定できていません。それでも、雇用形態や研修機会の偏りなど、データだけで立証できる課題は明確です。まずそこから着手すべき提言を、社会・企業・個人の3層でまとめます。
AIによる仕事の変化は女性の多い職種から先に訪れると見込まれ、女性がAIを学べる環境を整えることは個人の備えであると同時に、日本全体の生産性向上にもつながります。社会・企業・個人の3層で提言します。
社会・政策——学びを「届けて」、仕事と収入につなぐ
公的な学びの制度は認知が低く(教育訓練給付金を知らない63%)、まずは対象がひと目でわかる案内と手続きの簡素化を。要望1位の「無料の公的講座」充実(29.2%)に加え、学んだスキルと仕事のマッチング支援(16.7%要望)で、雇用形態を問わず学びを収入につなげます。
企業——学ぶ機会をひらき、身につけた力を評価する
正社員では男女差がほぼ消えることから、就業時間内の研修と費用の公平な配分、非正規への機会開放がカギ。加えて、身につけたAIスキルを評価・登用・報酬につなげる仕組みが、人材の定着と生産性向上につながります。
個人・コミュニティ(WAIJ)——学びを継続し、キャリアと収入につなげる
学んでいる女性は自信の差が消える一方、学び始めた人の87%が継続できていません。仲間と伴走者(約7割が希望)、生活と両立できる講座設計、スキルの可視化を通じて、学習継続から副業・柔軟な働き方への接続までを支えるのがコミュニティの役割です。
AI人材育成を「学べる」で終わらせず、「使える」「評価される」、さらに「キャリアや収入につながる」までを一連のプロセスとして設計すること。それが、AI活用を一人ひとりの成果へと還元していくために必要です。
数値はすべて2026年8月調査の速報値であり、確定値公表時に更新される可能性があります。詳細な数表と集計定義はファクトブック(Word版)および納品物Excelの数式タブを参照。